人と環境にやさしい「温水散布除草」でクリーン&安全な地域づくり
関係するSDGsの目標
高杉建設について
北米のデザインや工法を取り入れた「エドモントン輸入住宅」や、公共工事を手掛けるほか、人と環境にやさしい除草システム「グラスキーパー」を展開しています。雑草の特性や自然素材の有用性を追究し、自然とバランスよく共生できる環境づくりを目指しています。
通学路に生い茂る雑草がきっかけに
高杉建設が提案する「グラスキーパー」は、除草剤を使わず温水散布で雑草を枯らす除草システムです。このシステムを考案するきっかけとなったのは、通学路に生い茂る雑草問題でした。背の高い雑草は小学校低学年の生徒の身長をゆうに超え、車道を走る自動車から子どもたちの姿が確認できず、交通事故の原因にもなりかねません。
そこで考えられたのが、通学路の除草対策。回転式の草刈機は一度にたくさんの草を刈ることができますが、事故や飛び石による他者への危害が不安材料。一方、除草剤の散布は、子どもたちや周辺を散歩するペットの体内に入り、健康を害する恐れがあります。そんな時、同社の代表が入手したのが、「雑草の成長点と種子は65℃以上で死滅する」という情報でした。温水で雑草を枯らす「グラスキーパー」という構想が生まれた瞬間です。
理にかなった除草で働き方改革にも貢献
驚くほど生命力が強い雑草は、冬枯れの間も土の下にしっかり根を張り、初夏を迎えるといっせいに芽吹きます。繁茂した雑草を草刈機で刈ると、振動で種子が地面に落ち、かえって繁殖を促してしまいます。
そこで高杉建設では、あらかじめ雑草を刈って種子を落とし、ボイラーで沸かした80℃〜90℃の温水を散布することで、雑草の成長点と種子を死滅させる「グラスキーパー」を開発しました。表面の雑草が枯れると、土の下に眠っている種子に太陽が当たって発芽はしますが、根株が増殖することはありません。こうした処理を梅雨明けごろに行うことで、真夏の炎天下で草むしりや草刈りをする負担が軽減されます。ある子ども園では、お子さまが帰った後に草むしりをしていた保育士さんの負担を減らすために、「グラスキーパー」を導入したとか。働き方改革にも、ひと役買っているようです。
竹チップの活用で防草しながら「竹害」対策
温水散布で安心・安全に除草しても、土と水、そして日光が降り注ぐ限り、雑草は根絶やしできません。見通しの良い通学路を長く保つためにはどうしたら良いか……と考えた結果、高杉建設では竹チップを有効活用する防草手段を編み出しました。温水で除草した路肩に、竹チップと粘土を混ぜて作った「防草竹チップ」を散布することで、日光が遮断されて雑草の育成をおさえられます。雨にも流れにくく、自然素材であることから、人にも環境にも優しい手法です。
また、昨今では放置された竹林が周囲の土地を侵食する「竹害(ちくがい)」が問題視されています。竹を活用することで竹害対策をしながら防草し、子どもたちの安全も守ることができて一石三鳥。今後の実用化と普及が期待されます。
今後の展望
除草や防草の事業を通し、今まで以上に地域の環境保全や振興に貢献していきたいという高杉建設。その一環として、2024年の夏にユニフォームを新調しました。あざやかな若草色にロゴが映え、とても親しみやすい印象です。「テーマパークのキャストさんのように、笑顔を届けながら地域貢献するのが私たちの目標です。街でこのユニフォームを見かけたら、気軽に声をおかけください」と代表の高原宏さん。やわらかな表情で語る様子から、地元への愛情がひしひしと伝わってきました。