身近なSDGs
第2回「にしおSDGsパートナー交流会」開催リポート
第2回 にしおSDGsパートナー交流会
にしおSDGsパートナー様を対象にした体験型のセミナーが、9月18日の第1回に引き続き、第2回目も開催されました。今回は17パートナー、25名の皆様が参加。市からは「環境保全課」「広報広聴課」「秘書政策課」から計5名が参加。講義やグループワークを通じ、SDGsやカーボンニュートラルへの理解を深める有意義な時間となりました。
講師は「一般社団法人 SDGs design」 代表理事の曽根香奈子さん
講師として登壇されたのは第1回目に引き続き、曽根香奈子さんです。株式会社武田工業所(半田市)の取締役、「一般社団法人 SDGs design」 の代表理事、そして3児の母として子育てにも奮闘している「トライセクター(※)」の一人です。
※民間・公共・社会の3つの垣根を超えて第一線で活躍する人
企業向けSDGsの研修をはじめ、SDGs経営の取り組み方や実施を目指したコンサルティングなどを行いながら、SDGsの浸透を図るために開発された、カードゲームのファシリテーターとしても活躍している曽根さん。今回はカードゲームを軸に、カーボンニュートラル実現の必要性を講じてくださいました。
国連が提唱する「カーボンニュートラル」とは?
以前よりも夏の気温が高く感じる、食物の旬が乱れている、ゲリラ豪雨があちこちで起きているなど、気候の変化を身近に感じている方も多いはずです。
国連では自然火災、洪水、干ばつ、砂漠の拡大、海水温度の上昇など、気候変動の最大の要因として、温室効果ガスの排出量増加を挙げています。温室効果ガスの中で最も高い比重を占めるのが石炭や石油、天然ガスなど化石燃料の燃焼によって生成される二酸化炭素。二酸化炭素を大量に含んだ温室効果ガスが地球を覆って太陽の熱を閉じ込め、観測史上最も早いペースで地球温暖化が進んでいます。
カーボンニュートラルは、経済活動や日常生活によって排出される温室効果ガスを人為的に吸収または除去し、実質的な排出量をゼロにするという取り組みです。国連に加盟している120カ国以上が、2050年までにカーボンニュートラルの実現を表明し、日本政府も2020年10月に宣言。西尾市は2022年3月に「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を表明しました。
カーボンニュートラルを達成するためには…
ではどのようにして温室効果ガスの排出量を実質ゼロにできるのでしょうか?ここで曽根さんからバスタブに例えたカーボンニュートラルの説明がありました。バスタブに注がれる水が温室効果ガス、バスタブから排出される水が陸上や海中の植物による光合成で吸収される温室効果ガスを表し、注水と排水の均衡が保たれれば、プラスマイナスゼロとなる理屈です。参加者の皆さんも図を見て理解が進んだようで、大きくうなずいているのが印象的でした。
体感できるカードゲーム「2050カーボンニュートラル」
理解を深めたところで、カードゲーム「2050カーボンニュートラル」に取り掛かります。このゲームは、過去から現在にかけて私たちが行ってきた様々な活動が地球環境にどのような影響を与えているのかを俯瞰し、行動変容に働きかけるためのシミュレーションゲームです。
チームには住宅や自動車メーカー、電力会社、政府、銀行など、組織の役割が与えられ、それぞれのゴール達成に向けてアクションカードを選択。アクションは資金を投じて行う組織アクションと、プライベートで行う市民アクションに分けられます。アクションを起こすことで二酸化炭素を多量に排出するもの、二酸化炭素を吸収するものなどがあり、カーボンニュートラルを目指す現実社会と密接にリンクしています。
ゲーム開始当初は与えられたゴール達成のみを考えていたチームがほとんどでした。しかし、組織のアクションによって二酸化炭素の排出量がみるみる増加してくると、市民のアクションに注目が集まり、バランスを図りながらゴールを目指す考えが多くのチームに芽生え始めました。考えを体現するためにはチーム間の連携が不可欠という“気づき”も生まれ、活発に交流する光景が見られるように。しかし二酸化炭素の排出量は増加の一途を辿り、ゲームは終了。皆さんの表情に達成感は見られず、うっすら後悔がにじんでいました。
カードゲームを通して生まれた“気づき”
ゲームを終え、各グループからの発表タイムへ。
IT企業の役割を与えられたチームからは「ゴールを目指すために資金を稼がなければ……と売上拡大ばかりに目がいってしまいました。計画通り資金は3倍まで増加したものの、二酸化炭素排出量は増加するばかり。他チームと情報交換するようになって行動指針が変わりましたが、時すでに遅し。もう一度やったらきっと違う結果になるはずです」との感想をいただきました。
一方、政府の役割を与えられたチームからは「政府のゴールは温室効果ガスを減らすことでしたが、自力で減らす術はありませんでした。各チームから炭素税を徴収する機会があったので、排出量を減らす取り組みをしようとしているチームに投資すればよかったと後悔しています」と反省の声が聞かれました。
市民・企業・行政の共創で目指すカーボンニュートラル
こうした声を受け、曽根さんは「行政と企業だけが頑張っても効果が生まれにくいことは、過去様々な事例で立証されています。市民の意識や行動が変化することで、カーボンニュートラル達成に向けた共創体制が生まれます。今日のセミナーが、個人、または組織として何ができるか?を考えるきっかけとなれば嬉しいです」と結びました。パートナーの皆さんから発せられる声や表情が、考えるきっかけになったことを物語っており、今回のセミナーが共創へのワンステップとなったことは間違いないと言えるでしょう。
参加パートナー様(順不同・敬称略)
吉良オイルセンター株式会社
Amor a Mikawa Oneプロジェクト
西尾自動車学校
岩瀬鉄工株式会社
東邦ガス株式会社
榊原工業株式会社
大野精工株式会社
株式会社三河湾リゾートリンクス
新三商事株式会社 営業部 地域販売G 道の駅にしお岡ノ山
中部電力パワーグリッド株式会社 西尾営業所
相生ユニビオ株式会社
榊原精器株式会社
トヨコンロジスティクス株式会社
株式会社エムアイシーグループ
大浜燃料株式会社 西尾充填所
株式会社オティックス
特定非営利活動法人フロンティア西尾
情報提供元 : 西尾市役所 秘書政策課